フィアットのアイドリングストップ機構は「スタート&ストップシステム」という名称になっています。
アイドリングストップを好んで使っている方、煩わしいから使っていない方などいろいろいると思いますが、今回はスタート&ストップシステムについて説明したいと思います。
<スタート&ストップシステムについて>
スタート&ストップシステム非装着車に比べてオルタネータの容量が向上しています。
フライホイールが強化されています。
バッテリーがスタート&ストップシステム用の専用バッテリーが装着されています。
IBS(インテリジェントバッテリーセンサー)が装着されています。
ボルテージスタビライザーが装着されています。
▼自動停止機能が作動中
<機能について>
取扱説明書によると
スタート&ストップシステムとヒルホールドシステムは同時に作用しません。
システムがONのときはエンジンの暖機後、1度前進ギアで約10km/hを超えた後に限り、エンジンの自動停止機能が作用します、つまり渋滞時や駐車場内など10km/h以下で走行するときは、エンジンの自動停止機能は作用しません(10km/h以下保留機能)。
<AT車>平坦路や、勾配が5%以下の坂道で停車寸前にブレーキペダルを浅く踏み込みながら車を止めると、エンジンは止まりません。この時、さらに深くブレーキペダルを踏み込むとエンジンは止まります。
自動停止しないとき
メッセージを表示しないとき:
システムがONのときでも、安全性や快適性を優先するため、以下のいずれかに該当するときは停車後でもエンジンが自動停止しません。
- エンジンが冷えている
- 外気温度が極端に低い(-14℃以下)
- 車のバッテリー電圧が低い、または充電不足
- 前進走行開始後、一度も役10km/hを超えていない
- ”R“(リバース)へシフトしている
タイプによっては、ヒルホールドシステムが作動する坂道(勾配:約5%以上)での停止時はエンジンが自動停止しないことがあります。
メッセージが表示するとき:
システムがONのときでも、以下のいずれかに該当するときはエンジンは自動停止せず[Start&Stop unavailable](スタート&ストップ:機能せず)のメッセージが表示されます。
- 運転席のドアが開いている
- ドライバーが運転席のシートベルトを着用していない
- フルオートエアコン<装着者>の設定温度と室内温度の温度差が大きい、またはクイックデフロストモードがON
▼機能のOFF表示
これ以外に故障を含めて、機能を停止させている項目が多くあり、整備マニュアルによると、
エンジン停止しない(できない)条件として
1.エンジンの温度(水温)が40℃以下または100℃以上
2.バックギアが入っている
3.クラッチ(マニュアル車)が踏まれている
4.以下のセンサー又はシステムに故障や障害がある
・アクセルペダル
・ブレーキペダル
・ブレーキサーボバキュームセンサー
・ギアボックスコントロールユニット
・水温センサー
・車速センサー
・クラッチスイッチ
・エンジン回転センサー
・カムシャフトセンサー
・バックスイッチ
5.バキュームセンサーの圧力が規定に満たしていない
6.バッテリーが老化している(十分に充電されていない)
・充電率(SOC)が70%未満
・残容量率(SOH)が59%未満
・始動電圧(SOF)が7.3V未満
7.IBSの不具合
8.電圧安定器の誤動作
9.フロントデフロスタが動作している
10.ワイパーを高速で4秒以上作動させている
11.運転席のドアが開いている
12.運転席のシートベルトが固定されていない
13.オートエアコン装着車で設定温度と車内温度の差が±4℃以上ある
14.オルタネータが故障している
15.スタート&ストップシステムのリレーが故障している
※残容量(SOH)は車種ごとの定格容量(CCA)に対しての残容量率になります。フィアット500の定格容量450CCAなのでスタート&ストップシステムの限度容量は265CCAになります。
通勤のように毎日同じに走っていても、自動停止するときとしないときがあり、故障でなければ気まぐれしか考えられないようなときがあります。
この自動停止しない条件はドライバーには分からない項目があるので、自動停止しないと思っている方は上記の条件を気にしてみてください。(夜間走行が多かったり短時間運転などで充電量が少なくなっていることも考えられます)
それでもわからない場合にはIBSの故障やバッテリーの老化も考えられるので、診断をしてみることをお勧めします。
▼バッテリーシステムテストレポート
※ 残容量はバッテリーテスターで導き出された値の為、必ずしも車両の限度容量と一致するとは限りません。
▼バッテリーのマイナス端子に装着されているIBS(インテリジェントバッテリーセンサー)
参考までに、自動的に再始動する条件として
1.バキューム圧の低下した
2.速度が5km以上出た
3.自動停止してから160秒を超えた
4.バックギアが入った
5.水温が30℃未満になった
6.触媒コンバータの温度が0℃以下になった
7.ハンドブレーキを引いているにもかかわらず3km以上出た
8.バッテリー電圧が規定値より下がった
9.バッテリー状態センサーが故障した
10.外気温がー14℃以下、80℃以上になった(限界温度?)
11.オートエアコン装着車で設定温度と車内温度の差が±7℃以になった
12.ワイパーが高速で4秒以上作動した
これ以外にも重複する条件を含めて、自動的に再始動しない条件もあります。
(WEB担当スタッフ)