フィアット500eの普通充電

電気自動車の充電は交流(AC)の普通充電と直流(DC)の急速充電があります。今回は普通充電について取り上げたいと思います。

普通充電をするには車両に備わっている充電器を充電用コンセントに差して充電することになります。自宅や職場などに充電用コンセントが無い場合には充電ステーションや公共の充電スポットになると思います。

【予備知識】
kWは電力を表しています。1kWは1000Wです。ドライヤーの1000Wは1kWになります。電力の量の単位はkWhになります。1000Wのドライヤーを30分使うと0.5kWhになります。電力は電圧(V) × 電流(A)になります。1000Wのドライヤーは100Vで10A流れています。電気自動車の普通充電は200Vになります。同じ電流が流れるのであれば電圧が高くなるほど電力は高くなります。逆に言えば同じ電力ならば電圧が高くなれば電流が少なくすみます。

 

さて、付属の充電器で充電する場合には充電コンセントになりますが、バッテリー容量42kWのFIAT500eに充電する場合には最大14時間かかり、充電残量が3分の1程度の場合で10時間ぐらいかかります。この時間を長いとみるかになりますがもっと早く充電できないのかと思いいろいろと調べてみました。

付属の充電器の規格が200V15Aなので3kW充電です。充電用コンセントもそれに適応した15Aのコンセント形状になっています。もちろん15Aに適したケーブルとブレーカーを使用しています。


▲電気自動車充電用200V15Aコンセント

他には6kW充電器があります。これは充電用コネクタ(ケーブル)一体型で設置(電気)工事が必要な充電器(機器)になります。6kW充電できれば従来の3kW充電に比べ2倍の出力なので半分の時間で充電することができます。この6kW充電器は20万円ぐらいする機器が多いです。また分電盤に40Aブレーカーの取り付けも必要になってくるため電力会社の契約容量の変更も出てくるかもしれません。

eBayなどで探してみると40A(8kW)、50A(10kW)の充電器が10万円を切るような価格で販売されています。このような機器は240Vだったり見たこともない大きなコンセントだったりで日本で使えるのかが心配でなかなか手が出しづらい商品です。電気工事を行なっていざ使おうとしたら使えなかったら大損失になりかねないです。

一般的に国産の電気自動車の普通充電受入能力は6kWなので6kW以上を求めても意味がありませんがFIAT500eの受入能力は11kWなので大容量充電を試すことができます。
幸いドッコオートテクニカの工場の契約容量には余裕があり、電気工事も資格がある私が作業することができるため安価にテストすることができます。

追記:
ヨーロッパでは三相(動力)を使った普通充電が普及しています。
日本国内での普通充電の車両コネクタはType1(J1772)(5Pin)でアメリカでもこの規格を使用しています。ヨーロッパではType2(IEC62196)(7Pin)で単相、三相入力兼用コネクタになっています。三相で入力することで少ない電流(1/√3)で多くの電力を供給できます。400V16Aで11kWの出力を得られます。Type1と急速充電端子が合わさったものがCCS1で、Type2と急速充電端子が合わさったものがCCS2になります。

 

充電器を購入しました。

充電量を見ることができるディスプレイと価格の安さからZenCarと言う中国製(たぶん)のModel Aを購入しました。国内用では無いためPSEマークは付いていません。自己責任で使用します。

【ZenCar Model Aの規格】
Input & Output : 110V/230V AC50Hz/60Hz 6A-40A(Max)
アウトプット出力切替(200V) : 10A(2.0kW) 16A(3.2kW) 24A(4.8kW) 32A(6.2kW) 40A(8.0kW)

電源は単相200V50Aの容量が必要なのでそれなりの設備を整える必要があります。分電盤から距離がある場合は電圧降下の考慮も必要です。充電器付属のコンセントは日本の規格には無いので切断し直接接続しました。


▲新しく設置したブレーカーボックスと充電器

今回この工事をするのと同時に東京電力の契約を従量電灯を深夜の電気料金の安いスマートライフに切替ました。

東京電力の従量電灯の単価は第1段階から第3段階までで30.00円kWh〜40.69円/kWh、ドッコオートテクニカの工場は第3段階料金がほとんどなので40.69円/kWhになります。そして今回変更したスマートライフの単価は昼間は35.96円/kWh、深夜1時から朝6時までは28.06円/kWh。従量電灯との差は1kWhあたり約12円になります。電気をたくさん使っているところではスマートライフの契約は一日を通して安くなっています。

 

 

工事が終わったのでさっそく充電してみます。充電残量(SOC)13%からの充電で深夜料金の始まる午前1時に(100%まで充電)タイマーセットします。


▲充電予約


▲朝には充電が終了していました。

表示を見てみると想定通りですが早く充電時間4時間39分28秒 充電量37.37kWh でした。3.0kWだったら12時間以上かかりますね。早いから電気代が高い訳では無いので時間的なコストは削減できています。

今回深夜料金内の5時39分に終わっているので電気代は1,048円(基本料金は除く)でした。
この深夜時間に充電が完了するようタイマーと充電出力を調整すれば電気代も3分の2に抑えることができました。

東京電力の「くらしTEPCO web」で電気使用量を見てみると一目瞭然です。


▲赤いバー一本あたり30分、1時間あたり8.7〜8.8kWh消費しています。

 

最後に

普通充電は時間がかかるので駐車中に充電が完了するのがベストな運用かと思うので充電スピードの選択が増えるのは良いところです。

先述したように国産車の普通充電の容量が最大6kWに制限されているのは、日本国内の電気用品安全法、JARI認証基準に基づき車両の充電コネクタの電流上限が32Aまでなっているためです。よって国内で販売(設置)されている普通充電器の上限も6kWになっているのが現状です。高出力充電をするのにあたって電気の契約は最大容量で基本料金が決まっているので必要に応じて契約容量の変更や電気自動車の充電が他の電気機器の使用を妨げない時間帯などを利用したり充電出力を変更するなど柔軟な対応が必要です。

充電のモードについて、一般的なコンセント型の充電器はモード2になります。そして公共施設等に設置されているコネクタケーブルがあるのがモード3、モード3は充電設備に安全装置なる制御回路(CPLT機能)が内蔵されています。CPLT機能は車両からコントロールパイロット信号受け取り充電開始して良いか安全に充電できるかを監視する機能になります。不特定の人(車両)が使用する施設には必要だと思いますがこの機能がついていることで充電器本体価格が高額になっていると思います。戸建てなど利用者が限られているのであればモード2で商品価格の安い高出力の製品がコスパが良いです。国産車の場合でも30A以上の出力がある充電器を購入して試してもるのも良いかと思います。

(WEB担当スタッフ)

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