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スタート&ストップシステム その2

2018/11/05


以前スタート&ストップシステムの機能について掲載しました。
スタート&ストップシステムが働かない?【自動停止しない】
フィアットのスタート&ストップシステムの評判はあまり良くないようで、使っていないオーナーも多いかと思います。

 

チンクエチェントには2010年7月ごろから搭載されていますが、当初は一度オフにしても、再起動(始動)時にはオンになっており、スイッチ反転キットがアフターマーケットで販売されていました(現在は販売終了)。この必ずオンになる設定が不評だったようでその後2年ほどで(ZFA312000008*****)オン・オフ設定がメモリーできるようになりました。

 

スタート&ストップシステムは今まで動作していなかったのに急に動作したりするような気まぐれの状況が多いのではないでしょうか。稼働状況はスキャンツール(診断機)で調べる事ができず故障なのかバッテリーの交換時期なのか充電不足なのか判別が難しいです。

 

走行後の自動停止はブレーキペダルを踏んで車速が0kmになったら実施されますが、後退時やサイドブレーキで停車した場合には自動停止しません。また、ブレーキペダルを軽く踏んだ場合でも自動停止しません。ブレーキスイッチにはブレーキランプ用とコンピュータ用の2回路の接点があり、この自動停止機能にも使われているコンピュータ用ではランプ用に比べてわずかに強く踏んだ時に働きます。

 

スタート&ストップシステムの肝はバッテリーのマイナス端子に付いているIBS(インテリジェント バッテリー センサー)。これがバッテリーの電圧、電流、温度を監視し、SOC(充電量)、SOH(容量)、SOF(始動電圧)のパラメータで判断しています。エンジンが自動的にストップしない場合で、オルタネータ(発電機)、スタート&ストップシステムに不具合が無ければバッテリーの充電量、容量が不足している場合が原因だと思われます。

 

▲マイナス端子に付いているバッテリーセンサー

 

このIBSはバッテリーが交換されると(センサーの電源が一度切断されると)キャリブレーション(較正)を始めます。キャリブレーションはバッテリー交換する要領で行えば始まります。エンジンをかけたままバッテリー交換を行う場合では、バッテリー交換時にのマイナス端子に付いているクイックリリース端子も取り外す必要があります。バッテリー交換後、4時間のシステムオフ(エンジンオフ)後のエンジンスタートで、SOC(充電量)とSOF(始動電圧)が規定値内であった場合にキャリブレーションは終了します。

 

自動停止のアルゴリズム(条件)はメーカー独自の条件のため、ガレージドッコでは何種類ものバッテリーを使ってテストしたところ、

  • IBSセンサーの電源を取り外した直後では自動停止する場合が多い
  • 高速道路など長時間連続運転すると自動停止するようになる
  • 高速道路など長時間連続運転してもエンジン回転数を上げない走行の場合では自動停止しない
  • エンジン回転数を上げた走行では自動停止するようになる
  • バッテリー充電器でバッテリーを満充電すると自動停止するようになる
  • 満充電しても弱ったバッテリーでは短距離走行が続くと数日後には自動停止しなくなる
  • 満充電しても弱ったバッテリーでは数日動かさないと自動停止しなくなる

以上のことから、バッテリーが老化し(SOH(容量)の減り)、充電されてもセルスタートや夜間走行やエアコン使用や自然放電などで規定値以下になってしまうのかもしれません。また、エンジンの回転数が大きく関係しているようで、エンジンをガンガン回す運転では自動停止するし、エンジンを回さない大人しく低燃費走行では自動停止しないようです。

 

▲テスト用バッテリー

 

フィアットの自動停止の条件は国産車に比べると厳しいような気がします。もしかしたらバッテリー交換から時期がたつと自動停止しなくなる条件もあるのかもしれませんね。

 

自動車は基本的に走行中ではオルタネータ(発電機)だけ(バッテリー無し)でも走行できるので、通常走っているだけでバッテリーが減ってくることはありません。しかし、渋滞が多い日本では始動回数もフィアット技術者の想定以上なのかもしれません。

 

 

バッテリーは使用していくうちにバッテリー内部の電極に結晶が蓄積されていくサルフェーションが起き結果電極板の面積が減りSOH(容量)を低下させます。さらに充電量が不完全な(少ない)状態が続くとバッテリー内部の電解液が高い層と低い層になりさらにサルフェーションを加速させ老化しています。

 

走行時間に対しセルスタートの回数の多さと発電制御も行なっているスタート&ストップシステムも相まって、充電不足になりがちでバッテリーの老化を早めています。近年の自動車では電気に多く頼っています。燃費が良いエコ車の代償として、バッテリー交換は定期的に行なった方がよいでしょう。

 

(WEB担当スタッフ)