フィアットチンクエチェントのアンテナベースにはケーブルが同軸ケーブルしか無いのでアンテナブースターが無いのかと思うかもしれませんがブースターは内蔵されています。
ブースターには電源が必要なので同軸ケーブルに電源を乗せるPoC(Power Over Coax)化がなされていてこれを重畳と呼びます。これは特別な技術では無く家庭のテレビアンテナのブースターにも採用されており、自動車技術では車載カメラなどの最近のマルチメディアの情報通信系のLVDS伝送にもPoCを使われるようになってきています。
高周波(アンテナ)回路には電源を分けるインダクタ(コイル)が使われています。
▼アンテナベース内部部品(ASK Industries 製)
純正オーディオをカーナビなどに交換する場合アンテナブースターが内蔵されているにもかかわらず電源ケーブルが無い車両ではアンテナケーブルに電源が重畳されなくなりブースターが動作しなくなります。ネット販売されている下の写真のブースターと称されている商品をカーナビとアンテナケーブルの間に割り込ませることにより電源を重畳させアンテナベースのブースターを動作させることができます。この商品の説明では信号増幅器と記載されていますがこの商品のみでは信号は増幅されません。(レビューでは増幅されないと酷評が多い)
▼ブースターでは無く電源重畳器
グランデプントやニューパンダなどフィアットでも社外オーディオ仕様の車両のアンテナベースにはオーディオから電源重畳できないため電源ケーブルが分けられています。
▼フィアットグランデプントのアンテナベース
▼国産車のスズキのアンテナベースにも電源ケーブルがあります
チンクエチェントのアンテナは現在3世代目になりアンテナベースには7インチUCONNECTのGPSアンテナも内蔵されました。ヨーロッパ仕様にはDAB(デジタルラジオ)アンテナ内蔵タイプもあります。3世代目の青いコネクタはGPSアンテナ用。
▼左から1世代目、2世代目、3世代目
▼各アンテナのネジ径(M5mm)は同じでも互換はありません
長さや形状も変わりましたがいずれのタイプでも国産車と違って可倒式ではないため洗車機や機械式駐車場に入れるときは取り外す必要があります。1550mmの高さ制限がある駐車場に頻繁に入れる場合には純正オプションのアンテナアングルスペーサーを取り付けるか受信感度を犠牲にしてショートアンテナと交換するしかありません。
▼2世代目のアンテナアングルスペーサー
500Cのラジオアンテナは右クォーターガラス(初期型はフロントガラス)にプリントされ、アンテナブースターはガラスそば、GPSアンテナはダッシュボード奥UCONNECT本体の裏側に取り付けられています。
WEB担当スタッフ